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2026.10.15

不動産を相続すると税金がかかる?相続税の計算方法から申告・納付までの流れ、納税資金の調達方法についてわかりやすく解説

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親や配偶者が他界して不動産を相続することになったとき、気になるのが「相続税」です。相続したのが現金や預貯金だけであれば、その一部を相続税に充てることができますが、不動産の場合はそうはいきません。預貯金はそれほど多くなくても、不動産を相続したことで相続財産が高額になり、相続税の納付に苦慮することがあります。この記事では、相続税の算出方法から基礎控除、土地と建物の評価方法、申告・納付までの流れ、納税資金の調達方法など、不動産を相続したときに知っておくべき情報をご紹介しています。

目次

  1. 不動産相続と相続税の算出方法
  2. 相続税の基礎控除とは
  3. 相続税の計算における不動産の評価
    1. 土地の評価
    2. 建物の評価
    3. 小規模宅地等の特例
    4. 納税猶予の特例
    5. 更正の請求
  4. 相続税の申告・納付までの流れ
    1. 相続税の申告・納付の期限
    2. 相続税の申告・納付までに必要な手続き
    3. 申告・納付の準備に時間がかかるケース
  5. 納税資金をすぐに調達できない場合
    1. 相続した現金・預貯金を納税に充てる
    2. 相続した不動産を売却する
    3. 延納制度を利用する
    4. 物納で納税する
  6. 相続した不動産を売却して納税する場合の手順と注意点
    1. 相続した不動産の売却から納税までの手順
    2. 相続した不動産を売却する際の注意点
  7. まとめ

1.不動産相続と相続税の算出方法

相続した不動産だけでは、相続税がいくらになるのかはわかりません。また不動産を相続したからといって必ず相続税が発生するとはかぎりません。相続税は、土地や建物などの不動産に加え、現金、預貯金、株式などすべての相続財産の合計をもとに算出します。相続税の対象となる主な財産は以下の通りです。

  • 土地
  • 建物
  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券(株式・国債・社債・投資信託など)
  • 事業用財産(商品・原材料・機械・設備など)
  • 家庭用動産(自動車・家具・家電・貴金属・宝石・美術品など)
  • 貸付金・債権(他人に貸していたお金・売掛金・未収金など)
  • 知的財産権(著作権・特許権など)
  • 会員権・利用権(ゴルフ場・リゾート施設など)
  • 保険・年金に関する権利(相続とみなされる保険契約・年金契約など)

上記以外に、死亡保険金や生前贈与財産などが相続財産とみなされ、相続税が発生することがあります。また借入金などの債務や葬式費用などは相続財産から差し引いて計算できます。

⇒ 関連情報 国税庁HP:財産を相続したとき

2.相続税の基礎控除とは

相続税には一定額まで課税されない「基礎控除」が設定されています。基礎控除額は次の計算式で求められます。

基礎控除額=3,000万円+600万円✕法定相続人の数

例えば、法定相続人が3人の場合は、3,000万円+600万円✕3=4,800万円が基礎控除額となり、相続財産が4,800万円を超えない場合は原則として相続税はかかりません。相続税の申告・納税が必要になるのは、相続財産が基礎控除額を超える場合です。

相続税には基礎控除以外にさまざまな税額軽減や特例があるため、基礎控除額を超えていても最終的な納税額がゼロになる場合があります。ただし、特例の適用によって納税額がゼロになる場合でも、申告が必要なことがあります。

3.相続税の計算における不動産の評価

不動産の価格は一定ではありません。そのため、現金や預貯金だけを相続する場合と異なり、相続した不動産をいくらとして計算すればよいのかを確認しなくてはなりません。また土地と建物は評価方法が異なるため、それぞれの評価額を確認する必要があります。

3-1.土地の評価

土地の価格は主に「路線価方式」または「倍率方式」によって評価されます。同じ市区町村内でも土地の所在地によって方式が異なることがあるため、注意が必要です。

路線価方式

道路に面した土地には「路線価」が定められています。この場合は、路線価をもとに土地の面積などを考慮して評価します。路線価は国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。

倍率方式

路線価が定められていない土地の場合は、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて土地を評価します。固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書に添付された「課税明細書」や市町村の「固定資産課税台帳」などで確認できます。倍率は、国税庁がWebサイトで公開している「評価倍率表」で確認できます。

⇒ 関連情報 国税庁HP:路線価図・評価倍率表

3-2.建物の評価

建物は原則として固定資産税評価額をもとに計算します。固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書に添付された「課税明細書」や市町村の「固定資産課税台帳」などで確認できます。

上記の方法で確認した不動産評価額はあくまで税法上の金額であり、その土地や建物を実際に売却する場合の価格ではありません。相続後の売却を検討する場合は、不動産会社や不動産査定サイトを利用して、実際の市場価値を確認しましょう。

⇒ 関連情報 ブルーボックス:愛知の不動産価格査定

3-3. 小規模宅地等の特例

被相続人が生活していた自宅の土地や、事業に使っていた土地を相続する際に、一定の要件を満たしていれば、その土地の評価額を80%減額できる可能性があります。また賃貸アパートや駐車場など貸付事業に使っていた土地を相続する場合も、一定の要件を満たしていれば、50%減額できる可能性があります。この特例は認定が厳しいため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

  • 被相続人が住んでいた自宅の土地・・・面積の上限は330㎡、減額割合は80%
  • 事業に使っていた土地(貸付事業を除く)・・・面積の上限は400㎡、減額割合は80%
  • 賃貸アパートや駐車場など貸付事業に使っていた土地・・・面積の上限は200㎡、減額割合は50%

⇒ 関連情報 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

3-4.納税猶予の特例

農業を営んでいた人から農地を相続し、相続人が農業を継続する場合には、相続税の一部について納税が猶予される場合があります。また、一定の森林経営計画の区域内にある山林を相続し、相続人が林業経営を継続する場合も納税猶予の対象となります。特例を受けた後で農業・林業をやめた場合、猶予された税額の全部または一部を納付する必要が生じる可能性があります。

⇒ 関連情報 国税庁HP:農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例

⇒ 関連情報 国税庁HP:山林を相続した場合の納税猶予の特例

3-4.更正の請求

相続した不動産の相続税納付後に、不動産の評価が適正ではなかったことが判明した場合は、更正の請求によって還付を受けられる可能性があります。更正の請求期限は、原則として法定申告期限から5年以内です。よくある請求理由は以下の通りです。

  • 土地の形状に応じた補正をしていなかった
  • 土地の評価単位を誤っていた
  • 実際の地積と公簿面積の関係を適切に確認していなかった
  • 貸宅地などの権利関係を正しく評価できていなかった
  • 小規模宅地等の特例を適用できるのにしていなかった

⇒ 関連情報 国税庁HP:相続税および贈与税の更正の請求手続

4.相続税の申告・納付までの流れ

不動産を相続して相続税が発生した場合は、定められた期限までに申告・納付を行わなくてはなりません。相続税の申告・納付を行うためには多くの手続きが必要なため、最初に必要な手続きを確認し、期限までに準備を整えましょう。

4-1.相続税の申告・納付の期限

相続税には申告・納付の期限があります。原則として、相続人は相続の開始を知った日(被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から10か月以内に相続税の申告・納付をしなくてはなりません。例えば4月10日に相続の開始を知った場合は、翌年2月10日までに申告・納付を終える必要があります。

申告しないまま放置していると、税務署による調査や税額の決定、滞納処分などにつながる可能性があるため、できるだけ早く着手し、速やかに申告・納付しましょう。何らかの事情で期限を過ぎてしまった場合にも、できるだけ早く申告・納税することが重要です。

4-2.相続税の申告・納付までに必要な手続き

不動産を相続したときの相続税の申告・納付を行うためには、主に以下の手続きが必要になります。

相続の発生 → 相続人の確認 → 財産・債務の調査 → 不動産の評価 → 遺産分割協議 → 必要書類の収集 → 相続税の計算 → 相続税の申告 → 相続税の納付

⇒ 別コラム:親が亡くなり実家の相続が発生!初動3ステップとは

4-3.申告・納付の準備に時間がかかるケース

相続税の申告・納付期限は、遺産分割や不動産の売却が終わっていなくても、原則として延長されません。財産の内容や相続人の状況によっては、必要な手続きや税額の計算が複雑になることがあるため、期限直前になって慌てないように早めに着手することが重要です。特に以下のようなケースでは財産の把握や評価に時間がかかるため、早い段階で税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

  • 相続財産が高額な場合
  • 不動産を複数所有している場合
  • 土地の形状や状況によって評価が難しい場合
  • 相続人が多い場合
  • 相続人の中に連絡が取りづらい人がいる場合
  • 相続人が転籍や結婚を何度も行っている場合
  • 不動産を売却して納税資金に充てる場合

5 納税資金をすぐに調達できない場合

相続税は、金銭による一括納付が原則です。税務署窓口・金融機関・コンビニでの現金納付、クレジットカード納付などが利用できますが、すぐに納税資金を用意できない場合は、何らかの方法で納税資金を調達する必要があります。

5-1.相続した現金・預貯金を納税に充てる

相続財産の中に十分な現金や預貯金があれば、相続財産の一部を納税資金に充てることができます。ただし被相続人の預貯金口座は、金融機関が死亡を把握した時点で取引が制限されるため、納税前に相続手続きを行い、名義変更を終えてから引き出す必要があります。預貯金の一部を名義変更前に払い戻せる制度もありますが、払い戻し額には上限があります。

5-2.相続した不動産を売却する

相続財産の中に十分な現金や預貯金がない場合、相続した不動産を売却して、売却代金の一部を納税資金に充てることが考えられます。ただし不動産を売却するためには、不動産会社との媒介契約、購入希望者探し、売買契約、決済などの手続きが必要なため、10か月以内に完了するためには、かなり早い段階から着手する必要があります。

5-3.延納制度を利用する

一括納税が難しい場合は、分割して納税する「延納」の利用が考えられます。延納を利用するためには、財産や収入、担保など一定の要件を満たす必要があり、相続税の申告・納付期限までに延納の申請を行う必要があります。また支払いを延ばした分の利子が発生します。

⇒ 関連情報 国税庁HP:相続税の延納

5-4.物納で納税する

延納制度を利用しても金銭での納付が難しい場合は「物納」という制度もあります。物納とは、相続した土地や建物、有価証券などによって相続税を納付することです。物納には厳しい要件があり、物納する財産には優先順位があるため、まずは相続財産の売却や延納を検討しましょう。

⇒ 関連情報 国税庁HP:相続税の物納

6.相続した不動産を売却して納税する場合の手順と注意点

相続した不動産を売却して納税資金に充てる場合は、納税期限までに売却・決済を終える必要があります。以下の手順と注意点を確認しておきましょう。

6-1.相続した不動産の売却から納税までの手順

相続した土地や建物を売却して納税資金に充てる場合の主な手順は以下の通りです。売却までには多くの手続きと時間がかかるため、納税期限までにすべての手続きを終えられるように計画的に進めていきましょう。

相続財産の確認 →相続税の計算 → 納税資金の確認 → 売却する不動産の検討 → 不動産会社への査定依頼 → 売却活動・購入者決定 → 売買契約・決済 → 相続税の納付

6-2.相続した不動産を売却する際の注意点

相続した不動産を売却する際に、トラブルを防ぎ、スムーズに売却を進めるための注意点を以下にまとめました。

相続登記・名義変更を早めに行う

相続した不動産を売却するためには、不動産の相続登記を行い、相続人の名義に変更しておく必要があります※。相続後の売却を検討している場合は、早めに相続登記を行いましょう。

※2024年4月から相続登記が義務化されているため、売却しない場合でも、相続によって不動産を取得したことを知った日から原則3年以内の名義変更が必要です。

⇒ 別コラム:【2024年施行】不動産の相続登記が義務化!相続を放置したらどうなる?

不動産共有者の意思を確認しておく

1つの不動産を複数の相続人が共有する場合は、売却の際に共有者全員の同意が必要になります。相続後の売却を検討している場合は、遺産分割の段階で共有者の意思を確認し、売却を進めるための準備を整えておきましょう。

⇒ 別コラム:相続する遺産が家しかない場合はどう分ける?

境界や権利関係を確認する

土地の境界が不明確な場合や、越境、私道の権利、抵当権などの問題がある場合は、売却までに測量や権利関係の整理が必要になることがあります。早めに確認しておくことで、契約直前のトラブルを防ぎやすくなります。

譲渡所得税が発生しないか確認する

不動産を売却して利益が出ると、相続税とは別に譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税)が発生します。相続した空き家を売却した場合には、要件を満たせば最大3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できますが、それを超える場合には注意が必要です。

⇒ 関連情報 国税庁HP:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

査定額だけで不動産会社を選ばない

不動産を売却するときには、できるだけ高く売りたいと考えるのは自然なことです。しかし査定額が高いという理由だけで不動産会社を選ぶと、売却活動が長引いたり、買い手が付かず値下げが必要になる可能性があります。価格だけでなく査定の根拠や販売戦略、仲介手数料、担当者の対応など、総合的に判断して決めるようにしましょう。

売却価格にこだわり過ぎない

しかし売却価格にこだわって時間をかけ過ぎると、固定資産税や建物の維持管理、庭の除草などの負担が増えることになります。また売却益を納税資金にする場合は、納付期限に間に合わせなくてはなりません。売却の際は価格にこだわり過ぎず、妥協点を探ることも検討しましょう。

売却以外の資金調達も検討しておく

不動産の売却による資金調達は、想定した期限までに必ず完了できるとはかぎりません。期限に間に合わなかった場合にどのように資金を調達するか、別の手段もあらかじめ検討しておきましょう。

7.まとめ

不動産を相続したときに相続税がかかるかどうか、相続税がいくらになるのかは、不動産の評価額だけでは決まりません。現金、預貯金、有価証券などすべての相続財産を評価した上で、基礎控除などをふまえて計算します。相続税を支払うための現金・預貯金が手元にない場合は、相続した不動産の売却、延納、物納などの検討が必要です。不動産を売却する際には、あらかじめ必要な手順と注意点を確認した上で信頼できる不動産会社に仲介を依頼し、納税期限までに完了できる計画を立てましょう。

執筆:ライターS

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