実の親との同居がうまくいかない理由は?対策できることは?

子育ても仕事も落ち着き、50代になってようやく自分の時間を持てるようになって、旅行や趣味に時間とお金を使う方もいるでしょう。ただし、自分たちはまだ元気でも、親の見守りや介護の必要性が高まってくる年代でもあります。持ち家の場合は、高齢の親を呼び寄せて同居する、という選択肢も浮上するのではないでしょうか。
とはいえ、家族の仲もいいし親孝行になると提案したものの、実際にはうまくいかないケースも非常に多く、離れて住んでいた方がよかったと後悔する人も。うまくいっていたはずの実の親子になぜ摩擦がおきるのか、解決策はないのか、このコラムでご紹介していきます。
目次
1.50代からの同居で摩擦が起きる理由とは
1-1.いい大人なのに「子の役割」への逆戻り
実の親にとっては、子どもはいくつになっても"大切な我が子"であることに変わりません。そのため、実の親と一緒にいるとつい甘やかしたり、無意識に干渉したりと、子ども扱いされることも。実家から離れて家庭を築き、家もあって子育てもしてしっかり自立していたとしても、実の親からは大人としての扱いを受けず、プライドを傷つけられてしまうことがあります。
1-2.価値観や生活習慣のズレ
20年、30年も実家の両親から離れて生活すると、自分たちなりの生活習慣ができあがっているはずです。そのため、食事のメニュー、テレビの音量、掃除の方法、買い物など、日々の細かい習慣が合わずにストレスを感じ、言い合いになってしまうケースも。実の親子でも食い違うものなので、一緒に暮らしたことがない義理の親子関係なら余計に、生活スタイルや価値観の違いを埋めるのは大変です。
1-3.「誰が育てたと思っているの?」という意識
仮に、50代の子世帯が自分たちの家に親を招いて同居する、としましょう。子世帯としては「自分たちの家」という意識が、当然あるはずです。しかし親側も「自分の子共の家」であり、もとは自分たちが育てたんだから自分たちの家でもある、と無意識に考えてしまう人もいるようです。お互いに「自分のもの」と思っていては、インテリアをかえたり、庭をいじったりと、いろんな場面で問題がおきるであろうことが容易に想像できます。
2.「同居がうまくいかない!」実例と火種になるポイント
実際に同居を初めていろんな問題がおきている事例をご紹介します。
伊東歩さん、佐奈さん(仮名)ご夫婦は、ご主人である歩さんの父親が85歳で一人暮らしをしており、「そろそろ一人では危ない」と自分たちの家に招いて同居を始めました。ところが、事前にあまり話し合いをしなかったため、トラブルが発生してしまいます。
2-1.金銭感覚が摩擦に!生活費や通院費などはどちらが出す?
一人分の生活費が増えても、自立して出て行った子供の分を思えばたいしたことはない、と伊東さん夫婦がすべてを負担することに。しかし、使用する日用品が違ったり、食べるものが違ったりと、思っていた以上に日々の買い物や生活費がかかることがわかりました。さらに、送迎が大変なためタクシーで通院してもらったら、通院費もかなりの金額に。将来的に介護が必要な状態になったら、親の資産や年金は施設や介護サービスにあてるつもりでしたが、お父さんはあまり考えていないのか、値上がりが続いてもタバコを吸い続け、パチンコに通い、散財。趣味や嗜好にあまり口を出したくはないものの、この先、金銭面で無理が生じるのではないかと心配になってきました...。
ポイント!
- 生活費はどちらが多く出すか等、話し合って明確に分担できていますか?
- 親の資産や、介護費用をどこから出すか、話し合いは出来ていますか?
2-2.「勝手に部屋に入ってくるなんて...」プライバシーの感覚の違い
前述の生活費や将来の介護費用については話し合い、今の生活費も少し分担してもらうことになりました。ただ、佐奈さんは費用面より、我慢しがたいと感じていたことがありました。それは、平日の昼間に自室でくつろいでいる時、義父が勝手に部屋に入ってきて話をすることです。さすがに、その部屋でタバコは吸わないものの、ノックも、入っていいかの確認も無し。佐奈さんにとっては一人で静かに本を読んだり、うとうとしたりと、貴重なプライベートタイムが台無しです。
それとなく歩さんから言ってもらったところ、今度は「今からのんびりタイム?今日は歯医者だっけ?買い物は何時に行く?」など細かな予定を毎日確認されるようになって、まるで監視されている気分。かといって、お父さんの外出予定は聞いておかないと心配なので、お互い様という部分もあります。悪気がないのはわかっていても、もう少し自由に過ごせないものか、どんなルールにすべきかと悩んでいます。
ポイント!
- ノックなしで部屋に入っていないか?お互いの行動に口出ししていないか?
- 予定の確認もほどほどに。良かれと思ってのことが、過剰な監視やお節介になっていないか?
2-3.嫁の気遣いは嬉しいものの「食事くらい好きにさせて...」
今度は、伊東さん夫婦と暮らすことになった、お父さん側の意見です。妻に先立たれて以来、85歳になるまで自分なりに家事をこなし、朝と昼は簡単な和食、夕飯には軽く晩酌、タバコは我慢しない、コーヒーも一日に何杯も飲んでいました。しかし、息子夫婦と同居になり、コーヒーの飲みすぎや毎日の晩酌、喫煙を注意されるように。つまみも乾きもので十分なのに、健康によくないと煮物など用意してくれます。健康への気遣いはありがたいものの、まだ自分のことは自分でできる元気があるため、あまり口を出されたくない、好きにさせてほしい...そう思っています。とはいえ、相手もよかれと思ってやっていること。遠慮する気持ちと、理解してもらえるか不安もあり、なかなか希望を言えずにいます。
ポイント!
- 料理や掃除など家事のやり方で、意見が違っていないか?
- 親の健康管理について子世帯が介入しすぎていないか?
3.50代子世帯が親との同居で「平和」のために取るべき対策、できる準備
同居が始まってからイライラが溜まり、結局は別居、なんてことにならないように、事前にできる対策をしていきましょう。
3-1.対策1:可能な限り、物理的な「分離」を活用する
土地の広さやリフォームの有無なども関わってきますが、持ち家であれば、リビングやキッチン、玄関、トイレなど、生活動線をできる限り分けるのがおすすめです。水回りなど分けるのが難しい場合も、最低限のプライベートな領域としての個室を持ち、お互いに不可侵にするなどルールを決めておくといいでしょう。
3-2.対策2:「生活ルール」を話し合って明確化
前述の実例でも紹介した通り、費用や生活スタイルなど、同居する前に決めておくべきことはたくさんあります。生活費の出し方、入浴時間、共有スペースの利用について、連絡ルールなど、一方的にではなく話し合ってルールを決めましょう。特に、友人や親せきの訪問などは、きちんと決めておかないと揉める原因になりがちです。
3-3.対策3:「期待」せず、ルームシェアと捉える
同居の選択肢が出る親子は、もともとは関係性がいい場合が多いでしょう。とはいえ、親を「理想の親」とみる、自分を「孝行な子」と演じると、あとから苦しくなるかもしれません。親は人生経験が豊富な人生の先輩、敬意をもって接するルームメイトと考えて、お互いに干渉しすぎないことも大切です。
4.親と同居しても良好な関係であるために
同居がうまくいかないのは、お互いが悪いというより、生活習慣と役割意識の変化が原因になることがほとんどです。同居により親の面倒を見ることが親孝行だと思いこまず、ルールを守って共同生活することで、お互いのペースで快適に過ごせるのではないでしょうか。実の親子なら、家族なら分かり合えるはず、という甘えは手放して、適度な距離感と明確なルールをもって同居生活を始めましょう。
執筆:ライターY
