実は「持ち家より賃貸」がいい?子育て中のいま考えたいマイホーム問題
子どもが生まれると、「そろそろ家を買う?」と考え始めるかもしれませんが、ちょっと待ってください!買うのが絶対に正解、とは限りません。実は、家族の状況によっては賃貸の方が安心、かつ自由に暮らせることもあります。
この記事ではどんなご家庭が賃貸向きなのか、実際に長年賃貸で暮らすのとマイホームを購入した場合の支払額の差、デメリットもあわせてご紹介します。
目次
- じつは賃貸住宅向き!な子育て家族の特徴
- 賃貸で暮らし続けるメリットやポイント
- 賃貸と持ち家をコスト面で比較シミュレーション。賃貸のが1,000万円も得!?
- 無視できない老後の問題。賃貸のデメリット
- まとめ:今の暮らしと、将来の安心。両方から考える住まい選び
1. じつは賃貸住宅向き!な子育て家族の特徴
以下は、マイホーム購入よりも賃貸向きだと思うご家庭です。アナタは当てはまっていますか?順番に見ていきましょう!
1-1.将来の住まいや働き方に変化の可能性がある
大地さん(仮名・32歳)は、商社勤めのサラリーマンです。大企業というわけではなく、総合職の全員が転勤族ではありませんが、大地さんは何度か国内外で転勤を経験しています。妻と結婚した時も海外赴任の話が出て、夫婦で引越し、向こうで娘が産まれました。その後、帰国して娘も幼稚園に慣れてきたところ。そろそろ生活拠点を定めようかとマイホーム購入も考えていましたが、最近また海外赴任はどうかと内示を受けました。娘はまだ3歳、できれば家族で一緒に過ごしたい...話があったその日に妻と話して、赴任先が安全な国やエリアであれば、みんなで行こうと決めています。
POINT!
夫婦どちらかが転勤の可能性が高い、または引っ越しを伴う転職、Uターンを考えている
変化の可能性が大きいご家庭は、賃貸向きです。とくに転勤族と言われる勤務形態の方なら、子供が小さいうちは転勤のたびに家族で引っ越し、成長してきたら単身赴任、成人して生活力もついた子どもは一人暮らしや実家に下宿して夫婦で引越す、という選択も出来ます。引越しが必要な転勤が決まったときに、家族と相談していろんな暮らし方や住宅の選択をしていけるのは賃貸のメリットです!
1-2.教育や生活費を優先したい
さくらさん(仮名・31歳)は幼いころに習い事をあまりさせてもらえなかったので、自分の子供にはいろんな機会をあげたいと決めており、3歳の息子を英会話と親子スイミングに通わせています。一方で、住環境についてはこだわりなし。さくらさん自身はマンション育ち、2人姉妹でずっと2人部屋でした。今の賃貸は3LDKで入居したばかり。長く住んでいる子育て家族が多いと聞き、子供が自立するまでここでいいのでは?と感じています。
POINT!
ローン返済よりも、教育費・習い事・旅行など柔軟に使いたい
無理にマイホームを持つよりもお出かけや旅行を楽しみたい、習い事をやらせてあげたい、私立の学校に通わせたいなど、子を持つ親の理想形もいろいろです。さくらさんのような方には、ライフスタイルに合わせて住み替えできる賃貸暮らしが合っています。
1-3.学区や子育て環境を柔軟に選びたい
出張や残業が多い夫を持つ、茜さん(仮名・30歳)。2歳と0歳の子供2人がいて手がかかるため、新婚時代に住んだ物件から最近引越し、現在は夫の実家近くで義両親を頼りに子育て中です。結婚後はパート勤務を続けていましたが、2人目が生まれる前に退職して、今の物件へ引っ越しています。今のところは実家近くで助かっているものの、学区の小学校は人数が昔より少なく、行事も寂しいと聞き、隣町の子供が多い学区への引越しを検討中です。
POINT!
子どもの成長に合わせて、住み替えの自由が利くのは賃貸の大きな利点
未就学児は公園や自然の多い地域でのびのび遊ぶのがよくても、小学生になると習い事が選べるような環境、そのうち友だちとの外出が増えると公共交通機関が便利なところがいいと感じるでしょう。家族のニーズに合わせて住み替えられるのは、賃貸暮らしの大きな魅力です。
1-4.ローンや将来の修繕負担に不安がある
最近、実家のリフォームに立ち会ったという、拓海さん(仮名・28歳)。結婚の予定もあり、すでに実家は出ていますが、家庭がある兄2人に頼まれて実家のリフォーム相談にのることに。最初はキッチンとトイレだけのつもりで業者を呼びましたが、いざ点検してもらうと、ほかの部分の設備交換や修繕の方が必要なことが判明。結局、緊急度の高い屋根と外壁の修繕、お風呂の浴槽交換をしました。年数が経った住居の修繕と最近の物価高を考えると、注文住宅への憧れはあるものの将来が心配に。妻になる彼女と相談して、子供を授かったり仕事や社会状況が変わったりしたらその都度住み替えようかという話になっています。
POINT!
賃貸なら、突発的な出費や収入の変動にも対応しやすい
築年数が経った物件は、戸建てでもマンションでも、修繕や設備交換が必要です。急に大病を患ったり、子供の大学進学が決まったりしたタイミングと重なると、出費がかさんで大変なことに。賃貸であれば、年収が減った、教育費が一時的に増えたなどの状況にも合わせた住み替えが可能です!
1-5.いずれ実家を継いで暮らすつもりでいる
美咲さん(仮名・31歳)は、夫と子供2人の4人で、自分の実家近くの賃貸アパートに住んでいます。両親からは、もっと年老いたら施設に入るつもりだから同居はしなくていい、綺麗なマンションを買えばいい、実家はいずれ継ぐなり売るなり任せる、と言われています。もしも築年数が経った実家に住むとなったら、リフォームや建て直しに費用がかかるため、修繕積立金が必要でしょう。それに、同居が必要になったらすぐ動けるよう、マンションを買わずに賃貸のままがいいのではと悩んでいます。
POINT!
今は両親が管理している物件(建物や土地)があり、いずれ受け継ぐ予定の人
今は実家から離れて暮らしていても、年を重ねて夫婦二人で暮らすとなった時に、実家を綺麗にする、建て直す予定の方は、賃貸で好きな物件に住み替えていくのがオススメです。その分、貯金や投資に回して、将来の実家リフォームや建て直しに備えましょう。
2.賃貸で暮らし続けるメリットやポイント
- 固定資産税・修繕費がかからない
- 住み替えや引越しが気軽にできる
- 災害リスク・老朽化リスクも持ち家より軽い
- 住宅ローンを抱えない安心感
先ほどのブロックで書いたように、住み替えや引っ越しが気軽にできるのは大きなメリットです。また、マイホームと違って固定資産税がなく、経年劣化による修繕費はかかりません。災害や老朽化の面でも、なにかあったら引越しすればいいのでマイホーム所有者よりリスクは低め。そして物価の変動が騒がれる最近では、住宅ローンを抱えない安心感も大きいでしょう。
3.賃貸と持ち家をコスト面で比較シミュレーション。賃貸のが1,000万円も得!?
賃貸で生活を続けた場合とマイホームを購入した場合で、どれだけ支払額に差が出るのか、簡単に検証してみました。それぞれの費用について、期間は30歳から70歳までの40年間を想定しています。
項目 | 賃貸 | 持ち家 |
---|---|---|
月々の支払い | 90,000円 | 91,000円(ローン) |
年間支払い | 1,080,000円 | 1,092,000円 |
40年間総額 | 43,200,000円 | 38,220,000円(35年ローン) |
その他費用(引越/更新/修繕等) | 1,500,000円 | 10,000,000円(修繕費) |
固定資産税 | - | 4,800,000円 |
火災保険・維持費 | - | 2,000,000円 |
総支払額 | 44,700,000円 | 55,000,000円 |
備考 | 更新5回想定 | 建売3,500万円、金利1.0%想定 |
賃貸住宅に住み続ける場合は、管理費や更新料が発生すること、住み替えるなら引っ越し、敷金・礼金といった諸費用があるのに対して、マイホームの場合は火災保険や維持費、固定資産税、修繕費などが発生します。住宅ローンについてはフラット35で金利は1.0%、完済するのが65歳という35年ローンで試算した結果、賃貸と持ち家では40年間で支払金額に1,000万円ほど差が出ています。
持ち家の場合は、新築か中古か、住宅ローン減税などによる税金の控除や2025年現在に使える制度をもっと反映、建物の性能や頭金、初期費用の増減など、細かい条件を設定すると結果は変わってきますが、毎月の支払い条件を同じくらいとした場合の総支払額だけを比較すれば賃貸のほうが支払うお金は少なく済むので安心なように感じます。
ただし、当然ながら賃貸にはデメリットもあります。どんな点があるのか見ていきましょう。
4.無視できない老後の問題。賃貸のデメリット
4-1.家賃は払い続けても「資産」にはならない
働き盛りのうちは気にならないかもしれませんが、賃貸はあくまで"借りもの"。仕事を辞めても年老いても関係なく、家賃は必要です。収入が減る時期を見越して安い物件に引っ越す、貯金や投資を続けるなど先々の計画や備えを考えておく必要はあります。
4-2.高齢者は物件を「貸してもらえない」可能性も
最近でもNEWSで取り上げられて話題になっていましたが、年齢や保証人の有無、収入が年金のみ等の場合に審査が厳しくなり、結果として希望の物件が貸してもらえないこともあります。先ほど書いたような長期的な備えが必要です。
4-3.設備や内装を自由にリフォームできない
例えば子ども2人で使っていた広い部屋を仕切って2部屋にしたい、といった、成長に合わせた間取り変更はできません。設備変更や壁を抜くようなリフォームが出来ないため、「子どもたちの洗濯物も増えたし浴室乾燥をつけたい」「夫は帰宅が遅いからお風呂の追い炊き機能がほしい」などの希望が出てきたら、住み替えも視野に入れることをおすすめします!
4-4.家族構成が変わった時に"選択肢が限られる"場合も
これは地域によりますが、部屋数の多い物件が少ない地域では選択肢が狭まってしまいます。子供が増えて手狭になった、子供が成長して自分の部屋を欲しがった時に、引っ越し先が限定される可能性もあります。
5. まとめ:今の暮らしと、将来の安心。両方から考える住まい選び
賃貸には住み替えられる柔軟さや自由さ、住宅ローンがないなどの安心感がある一方で、収入が減ったときなど将来の不安も伴います。持ち家が「安定」だとしたら、賃貸は「変化に強い」暮らし。どちらが正解ということではなく、自分たちに合った選択かが大事です。
将来設計や教育方針ともあわせて、戦略的に住まいを考えましょう!
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執筆:ライターY