賃貸経営ニュース

2025年1月1日

2025年賃貸トレンド予測|需要の変化は?家賃上昇は?

2025年の賃貸トレンドを3つのテーマで予測!

最近では、「これから先は国内の人口が減少していくので、賃貸経営の環境は厳しくなるのではないか」というネガティブな意見も聞かれます。
しかし、時代の流れを読み、それに合った対策を講じていくことで安定的な経営を継続することが可能ではないでしょうか。
今回は、オーナー様が次の時代の流れを読むためのヒントになるよう、2025年以降の賃貸経営のトレンドについて、以下の3つの観点で考察してみました。

◆防犯設備が充実した物件の人気が高まる
◆外国人入居可で空室リスクが軽減される
◆今後も家賃上昇の傾向が続く

それぞれの詳細を確認していきましょう。

闇バイトによる凶悪事件の不安が地方でも広がる

トレンド予測の1つ目は、防犯設備が充実した賃貸物件の人気が高まることです。
現時点でも防犯設備の人気は高いですが、2025年以降、その需要がさらに高まると予測されます。
理由として、近年、闇バイトによる強盗や窃盗が多発していることで入居者の不安感が広がっていることが挙げられます。
全国賃貸住宅新聞社が2024年10月に発表した「この設備がなければ入居が決まらないランキング」では、防犯設備の「テレビモニター付きインターホン」が単身者向けとファミリー向けの両方で3位にランクイン。
また、こちらも防犯性を高める設備である「エントランスのオートロック」は、単身者向けで7位、ファミリー向けで9位でした。
闇バイトによる事件の傾向として、以前は首都圏や大都市近郊が主なターゲットとされてきましたが、最近では地方も狙われています。
例えば、読売新聞オンラインの2024年11月26日付記事では、札幌市内で闇バイトによる強盗や窃盗が発生したため、北海道のホームセンター店頭で防犯グッズが品薄であることを報じています。

この状況を踏まえると、防犯設備を備えた賃貸物件の需要が全国的に広がっていくと考えられます。
特に、以下のような物件では防犯設備が充実していることが入居の大きな動機になると考えられます。

・強盗が多発している地域
・女性の単身者向けの物件
・ファミリー向けの物件

また、入居者募集時に「防犯性の高い物件」とアピールすることで、家賃の上積みにつなげることも可能でしょう。
「家賃が相場よりも高めだけど、安心して暮らせるなら……」といった具合に数多くの入居者に選ばれる可能性があります。

賃貸物件の防犯性を高める方法としては、例えば以下のような施策が考えられます。

・死角やエントランスなどに人感センサー照明を設置
・各戸にテレビモニター付きインターホンを設置
・エントランスにオートロックを設置
・窓に防犯フィルムや補助錠を取り付ける
・1階や低層階の窓に面格子を設置する など

日本の人口減少と対極的に在留外国人数が急増中

トレンド予測の2つ目は、「外国人入居可」をアピールした物件が、集客において有利になることです。
総務省によると、2024年1月1日現在の国内総人口は1年前と比べて約53万人減少しています。この減少ペースは今後さらに加速します。
一方で、日本で暮らす在留外国人は年間約35万人増加しており、その人数はコロナ禍以降、過去最高を更新し続けています(参照:出入国在留管理庁)。
これらのデータに基づくと、外国人を入居者として受け入れることで空室リスクの緩和が期待できます。
在留外国人数が増加する背景には、深刻な人手不足を補うために、政府が特定技能制度の拡充などを進めていることが挙げられます。
2024年6月末の在留外国人数は約359万人で、前年末比(半年前と比較して)5.2%の増加でした。
同調査の1年前や2年前の結果を見ても、在留外国人数が急増していることが示されています。

・2023年6月末:前年末比4.8%増加
・2022年6月末:前年末比7.3%増加

オーナー様が在留外国人を集客するためのアプローチ例は以下の通りです。

◆技能実習生を受け入れる企業へのアプローチ
……技能実習生を積極的に受け入れている企業と連携し、彼らの住居ニーズに応えることで集客を図る

◆外国人向けの学校との連携する
……外国人留学生を対象とした学校や教育機関と協力し、学生向けの住居情報を提供する

◆在留外国人のコミュニティへの営業
……地域の外国人コミュニティや団体と関係を築き、彼らのネットワークを通じて情報を広める

◆外国人集客に強い不動産会社との提携
……外国人の集客に実績のある不動産会社とパートナーシップを組み、彼らの専門知識やネットワークを活用する

これらを組み合わせると、効果的に在留外国人を集客することが可能です。
ただし、在留外国人の増加状況はエリアによって異なります。そのため、不動産会社や役所にヒアリングを行うなど、リサーチをしっかりと行った上で、外国人を取り込むかどうかを判断することが重要です。

住居の物価上昇率を押し上げる「設備・修繕維持」に要注意

トレンド予測の3つ目は、2025年以降も家賃上昇の傾向が続く可能性が高いということです。
その根拠として挙げられるのは、依然として続く物価上昇です。
総務省によると、2024年1月から10月までの消費者物価指数(総合)は、すべての月で前年同月比2%以上の上昇となりました。
さらに、消費者物価指数を「住居」の項目で見ると、2024年前半(1月から6月)よりも後半(7月から10月)の方が上昇幅が大きくなっています。
物価指数の住居の内訳は、家賃や設備・修繕維持などですが、2024年10月の上昇幅が最も高かったのは「設備・修繕維持」で前年同月比2.8%でした。
この状況が続くと、オーナー様が負担する、修繕や原状回復などの工事費がさらに重くなる可能性があるため要注意です。
エリア内の家賃相場、直近の収支や空室率を見ながら適切に値上げを検討しましょう。