賃貸経営ニュース
2025年5月1日
健全な賃貸経営の羅針盤!NOIとは?

成功するオーナー様はなぜNOIに注目するのか?
NOIとは、純収益(Net Operating Income)の略です。
NOIの読み方は「エヌ・オー・アイ」。この指標は賃貸事業で生み出される純収益(または、営業純利益)を指します。
わかりやすく言うと、NOIはその物件の真の稼ぐ力を示します。この指標を見ることで、投資の効率性や安全性を分析することが可能です。
賃貸経営において、経験や知識の少ないオーナー様は「表面利回り」に注目しがちですが、これらの数値だけで正確な収益性を把握するのは難しいでしょう。
表面利回りは、賃貸経営において重要な指標の一つですが、物件の維持費や空室リスクなど、ほかの要素も考慮する必要があります。
つまり、総合的な視点で物件の収益性を評価することが大切というわけです。
一方、長年にわたって成功している大家さんは、NOIをはじめとする、さまざまな指標を駆使して経営判断を行っています。
たとえば、空室率の改善や管理コストの見直しなども、NOIの値を参考にしながら判断するケースもよくあります。
その意味でNOIは単なる数値ではなく、「経営の羅針盤」と言えるでしょう。
また、物件の売却時やリファイナンス(借り換え)を行う際にも、NOIは評価指標として使われます。
NOIの高い物件は、「売れる」「貸せる」「融資が通る」と三拍子そろった優良物件です。

NOIの計算方法と利回りとの違いについて解説
NOIの算出方法はシンプルです。下記が計算式です。
NOI=年間の満室時家賃収入–年間の物件運営費–空室期間による損失
たとえば、年間の満室時家賃収入が1,000万円で、運営費が400万円であれば純収益は600万円(空室による損失を含む)となります。
この式のうち、「満室時家賃収入」とは想定した家賃ではなく、「実際に得られた家賃」や「市場調査に基づいた査定家賃」などを指します。
また、「物件運営費」の内訳には管理手数料、固定資産税、火災保険料、共用部の光熱費、定期清掃費などが含まれます。
注意点として、NOIの計算式には減価償却費、支払利息などは含まれません。
その理由は、NOIがあくまで物件の純粋な運用だけで得られる収益を示しているからです。
次にNOIと利回りの違いについて確認してみましょう。両者の違いをまとめると以下のようになります。
・表面利回り:購入価格に対する満室時家賃収入の割合。経費や空室損は考慮されない。
・実質利回り:経費を考慮しているが、定義が曖昧な場合も多い。
・NOI:実際の物件運用から得られる純粋な収益を示す。
比較してみると、NOIがいかに「経営の分析や判断に最適な指標であるか」をご理解いただけるのではないでしょうか。
NOIによって収益性を客観的に判断することが可能
ここまでの内容で、NOIの基本についてはご理解いただけたと思います。
ここからは、NOIの具体的な活用方法についてお話ししていきます。
経験や知識の少ないオーナー様が陥りがちなのは、「なんとなく黒字だから大丈夫」や「赤字が続いているが原因がよくわからない」といった感覚的な経営です。
このような体質の賃貸経営は、うまくいっているときには問題点が見えくい一方、経営が悪化した際には改善するのが難しい傾向があります。
これに対してNOIを算出し、それに基づいて経営判断を行うことで、「適正な収益を得られているのかどうか」を客観的に判断できます。
もし、収益力が下がっている場合は、状況に応じた改善を行うことでNOIを高めることが可能です。
なお、各地域のNOIについては、IREM JAPAN(全米不動産管理協会 日本支部)のHPにて詳しい調査結果やNOIマップが公表されていますので、そちらを参照しながらご自身の物件の適正なNOIをご判断いただくことも可能です。

NOIの値を上げるための具体的な施策とは?
では、具体的にどのようにNOIを高めていけばよいのでしょうか。
このヒントを探るためにもう一度、NOIの計算式を確認してみましょう。
NOI=年間の満室時家賃収入–年間の物件運営費–空室期間による損失
この計算式を見るとわかるように、NOIを高めるには、「家賃収入を増やす」と「運営費を減らす」が有効です。
NOIを向上させるための具体的なアプローチ例は以下の通りです。
【家賃収入を増やす】
・家賃額の見直し:周辺相場を調査し、適正な家賃設定を行う
・値引き家賃の見直し:家賃の値引きやフリーレント
・未回収家賃の削減:管理会社との連携強化
・空室対策:リフォーム、ホームステージング
・付加価値の創出:無料インターネット、宅配ボックス設置
・入居者の満足度向上:清掃、騒音対策
・退去防止施策:更新時のインセンティブ
・家賃収入以外を得る:敷地内に自動販売機の設置
【運営費を減らす】
・修繕費の削減:発注時の複数の業者の比較
・光熱費の削減:LED照明や省エネ設備の導入
運営費でとくに注意が必要なのは修繕費です。人件費や材料費の高騰により、修繕費が上昇しているケースが多いと思います。
しかし、それが相場に応じた上昇であるかどうかを確認する必要があります。
なお、NOIは一度だけ算出するのではなく、定期的に算出して経営分析を行うことが望ましいです。
経営スタイルに応じて、半期や四半期、または月次で算出することをオススメします。
「NOIのチェック」とそれに基づいた「家賃収入と運営費の改善」のサイクルを続けることで、理想的な高収益体質を実現することが可能になります。

「NOI利回り」も安定経営のために覚えておきたい指標
NOIと合わせて、この指標を基にした「NOI利回り」について理解しておくと、さらに最適な賃貸経営がしやすくなります。
NOI利回りの計算式は以下の通りです。
NOI利回り(%)=NOI÷物件価格×100
たとえば、NOIが300万円で物件価格が5,000万円での場合、計算式は以下のようになります。
NOI利回り:300万円÷5,000万円×100=6%
NOI利回りの計算方法を知っておくことで、ほかの物件の収益性と比較しやすくなります。