コラム 持ち家を検討

2025.12.17

愛知県で賃貸に出される自宅とは?メリット・デメリットや事前の注意点、実例を解説!

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子の誕生を機に持ち家を検討するも転勤の可能性があったり、転勤の内示が出て持ち家をどうするか悩んでいたり、子どもも自立して家を持て余していたりするとき、資産を活用する方法として「自宅を賃貸に出す」という選択肢を考えてみたことはありますか。戸建てもマンションも関係なく、家は人が住んでいないと風通しが悪く、どんどん傷んでいくものです。とはいえ、予備知識ゼロで貸してしまうと、例えば転勤が終わって持ち家のあるエリアに戻れるとなった時に、入居者が住んだままで「マイホーム難民」になってしまうことも。

今回の記事は、メリット・デメリットや賃貸に出すときの流れ、事前に気を付けておきたい注意点をご紹介します。これから持ち家を購入して賃貸に出す可能性がある人も、持ち家に住んでいるけれど転勤が決まって他県への引っ越し予定の人も、ぜひご覧ください。

目次

  1. 自宅を賃貸に出すメリット・デメリット
    1. 自宅を貸し出すことで、安定した収入源に
    2. 空室リスクやトラブル対応の負担も
    3. 1-3.実際に持ち家を貸し出している大家さんのお悩みとは?
  2. 自宅を賃貸に出すための準備や流れ
    1. まずは物件の状態把握と修繕
    2. 2-2.修繕の検討とあわせて周辺の家賃相場を調査
    3. 2-3.複数の管理会社を比較する
  3. 「そのうち持ち家に戻りたい」なら選択に注意!賃貸借契約の種類とは
    1. 失敗談1:持ち家は貸し出し中で戻れない。結果、マイホーム難民に...
    2. 失敗談2:借り手がつかず負動産として持て余す。結局は安く売却することに...
  4. 4.自宅を貸し出すには、事前準備や注意が必要!

1.自宅を賃貸に出すメリット・デメリット

自分たちが住んできた持ち家を賃貸に出すことで、いろんなメリットもデメリットもあります。

1-1.自宅を貸し出すことで、安定した収入源に

賃貸物件として持ち家を人に貸し出すことで、毎月の家賃収入を得られるのが大きなメリットです。仕事とは別で収入源を持つことになり、経済的な安定やリスク管理としても役立ちます。物件価値の上昇やインフレ対策としても有効なので、今回の"持ち家を貸し出す"からは話がそれますが、投資として物件を購入して賃貸に出す大家さんもいます。

ご主人が転勤の多い仕事なら、子供が家にいる間は単身赴任をしてもらっていたが、子供が自立して夫婦2人ならば勤務先へ二人で引っ越しを考えるケースもあるでしょう。空き家は放置しておくと空き巣に入られたり、家が傷んでしまったりもするため、賃貸物件として有効活用することで持ち家を守ることにもつながります。また、住んでいなくても所有していれば管理費や固定資産税がかかるので、それらの費用分を賃貸収入でカバーできるのも魅力でしょう。

ちなみに、愛知県で自宅を貸し出している大家さんは、全国平均がマンションと一戸建てが半々の割合なのに対して、ややマンションを貸し出す方のほうが多いというアンケート結果もあります(ブルーボックス調べ)。

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1-2.空室リスクやトラブル対応の負担も

持ち家を賃貸として貸し出して、自分たちが他の物件に住む場合、2件分の費用が発生します。賃貸のほうの入居者が決まらないと家賃収入が得られず、かえって費用の負担がかかり、経済的に不安定になるデメリットも。賃貸市場は時期によってニーズが変動するため、タイミングによっては入居者が見つからない、家賃を下げざるを得ないこともあることは念頭に置いておきましょう。

入居者が決まった後も、物件の管理やトラブル対応が必要になります。専門的な知識が必要になったり、物件の修理やメンテナンスが必要になったり、専門業者に依頼してコストが発生したり、入居者とのやり取りが負担になったりも。自分で管理するとなるといろんな負担がかかるため、不動産会社に任せて管理を依頼する方も多数いらっしゃいます。

1-3.実際に愛知で持ち家を貸し出している大家さんのお悩みは?

メリットやデメリットをふまえた上で、愛知県にある持ち家を貸し出している大家さんたちへ、実際によくあるお悩みについてアンケートをとりました。

最も多いのは設備のトラブルで、全国平均の25%より多いという結果が出ています。ほかにも、建物の老朽化、入居者マナー、自分が住みたいタイミングに戻れるか不安といったお悩みがよくあるようです。現実問題としてどんな問題が出てくるのかはこの後のブロックや次回以降のコラムでもご紹介していきます。

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2.自宅を賃貸に出すための準備や流れ

メリットやデメリット、よくあるお悩みを念頭に置いて、自宅を貸し出そうと決めたら、まず何から始めればいいのでしょうか。

2-1.まずは物件の状態把握と修繕

賃貸に出すための準備として、最初に自宅の状態をきちんと確認しましょう。壁や床の傷や汚れ、設備が正常に機能しているかチェックします。修繕や修理したい項目をリストアップして、予算と費用対効果を考えながら必要な修繕を業者に依頼する、DIYで対応するなどが必要です。賃貸物件で物件の劣化や設備故障がおきたら、修理や修繕は貸主側の義務です。見た目だけでなく、機能性に問題があるものは特に、事前にリフォームなど検討しておきましょう。

賃貸物件では、退去時に修繕が必要な個所があったとしても、経年劣化によるものや普通に生活している範囲内での汚れ等は入居者が支払う必要はないとされています。賃貸の原状回復もどこまでが入居者の義務かはあいまいな部分も多く、入居者のマナーが悪くて必要以上に設備の故障やトラブル対応、修繕費が必要になるケースも。貸し出す前に、きちんと確認して必要なら写真や動画を撮っておくのもいいでしょう。

2-2.修繕の検討とあわせて周辺の家賃相場を調査

貸し出しを考えている地域の賃貸相場をきちんと把握しておくことも重要です。広さ、立地、設備など似たような条件の物件で比較して、自宅の賃料を考えましょう。ただし、必ずしも希望の賃料で入居者がつくとは限りません。ニーズにあわせて柔軟に調整できるよう、目安を決めておく程度にしておくのがおすすめです。

2-3.複数の管理会社を比較する

賃貸管理会社を探して契約を結び、物件の管理を任せるなら、複数の管理会社を比較して信頼性や評判もチェックしましょう。会社によって、入居者募集をがんばってくれるのか、家賃の管理や入居者トラブルなども対応してくれるのか、サービスの内容や質が異なります。実際に契約する際の手数料や契約期間なども明確にしておきましょう。

ちなみに、愛知県内で持ち家を賃貸に出している人たちは、管理会社に任せている方と個人管理の方は半々くらいの割合というデータも(ブルーボックス調べ)。個人管理でも大きな問題なく管理・経営や運営できるケースもありますが、手間がかかることや専門知識が必要なこと、様々なトラブルが起きる可能性もあるため、不動産会社を選んで管理を委託したほうが安全ではあります。いろんなパターンを考えて、ご自身に合った選択をしてください。

3.「そのうち持ち家に戻りたい」なら選択に注意!賃貸借契約の種類とは

賃貸契約には普通借家契約と定期借家契約があります。管理会社に物件の管理をお任せする場合は説明があると思われますが、それぞれメリットとデメリットがあるため注意が必要です。

期間

退去について

大家側のメリット

大家側のデメリット

普通借家契約

・契約期間は無期限
・賃貸の契約更新が可能

・入居者の都合しだい
・解約には通知が必要

・入居者が決まりやすい
・周辺の家賃相場で貸し出ししやすい

・入居者が住み続けている場合、持ち家に戻りたいタイミングで戻れないことも多い

定期借家契約

・契約期間が明確
・賃貸の契約更新は不可

・契約期間が終了しだい退去
・早期解約の場合は通知が必要

・持ち家に戻りたいタイミングで戻りやすい
・場合によっては早期解約も可能

・定期借家の場合は法人契約ができないため、高額な家賃は設定しづらい
・周辺の家賃相場より下げないと入居者が決まりにくいことも

3-1.失敗談1:持ち家は貸し出し中で戻れない。結果、マイホーム難民に...

斎藤さん(仮名)一家は3人家族で、ご主人の地元にマンションを購入して暮らしていました。ただ、ご主人の転勤が決まり、悩んだ末に一家で引っ越しをすることに。いずれ地元に戻るつもりで、マンションは手放さず賃貸に出しました。

管理会社と契約して賃料や条件を決める際、「定期借家では法人契約ができず、そもそも期間が決まっていると入居者が決まりにくくて家賃を下げざるを得ないケースがほとんど。できれば定期借家ではなく、普通借家として出したほうが入居者は早く決まるはず」と言われて、その通りにしたところ、情報を出してから1カ月で入居者が決まり、不労所得を得られて嬉しく思っていました。

5年後、子供はすでに大学進学で家を出ており、ご主人の転勤が終わって地元に戻ることが決定。賃貸に出していたマンションに戻って暮らそうと思ったところ、現在も入居者が賃貸契約を更新して住み続けており、当分は出ていく予定がないと言います。結局、地元に戻ったあと、自分たちは別で賃貸を借りる羽目に。マイホームがあるため住宅手当も出ず、マイホームに戻れないまま15年も地元で賃貸暮らしをすることになってしまいました。

ポイント解説!

斎藤さん一家の場合、ご主人の地元にマイホームがあり、転勤も数年と決まっていたのであれば、最初から定期借家での賃貸契約にしておくのがよかったかもしれません。家賃を下げないと入居者は決まりにくいかもしれませんが、自宅を貸し出す目的が「収入を増やす」ではなく「物件管理の費用を捻出する」と割り切っていれば、確実にマイホームへ戻ることが出来たはずです。

3-2.失敗談2:借り手がつかず負動産として持て余す。結局は安く売却することに...

木村さん夫妻は30代前半で子どもがなく、二人暮らしです。奥様は専業主婦で、ご主人の転勤についてまわっていました。ただ、奥様の地元に配属された時、いずれはそこに住むつもりで中古マンションを購入。その後、次の配属先が決まり、賃貸に出すと決めて管理会社と契約します。約10年で希望する配属先を選べるとわかっていたので、定期借家を条件に貸し出しました。

ところが、立地も広さも綺麗さも申し分ないはずの物件なのに、3年、5年経っても入居者が決まらず、家賃を10万円から7万円まで下げることに。ようやく入居者が決まったものの、今度は自分たちに子供が産まれ、出産した地域でそのまま子育てしていくことになり、地元へ戻る予定が白紙になってしまいます。そうするうち、定期借家の契約期間が終わって入居者は退去。結局は売却を決めますが、賃貸に一度でも出すと売却時の査定で物件の収益性として賃料が査定材料に反映されるため、土地や物件の評価額より安い金額で売却することに。購入時の金額を考えると売却時はだいぶ安く見積もられたものの、所有し続ける金銭的な体力もなく、管理会社にそのまま売却を決めました。

ポイント解説!

いずれ戻るつもりで定期借家の条件にしたものの、引っ越し先で子どもを授かったこと、定期借家のため借り手がなかなかつかなかったことで計画が狂ってしまいました。定期借家ではなく普通借家にしておくのがよかったのか気になるところですが、普通借家で家賃10万円にして借り手がついても、結局は売却となると賃料が査定に響くため、マイホームをただ売却するより金額が落ちてしまうのは変えようがありません。年齢的に子供が授かる可能性を考えると、計画が難しいとはいえ物件購入のタイミングが最適だったのか、がポイントでしょうか。

4.自宅を貸し出すには、事前準備や注意が必要!

今回は、持ち家を賃貸に出すうえで事前に注意しておきたいことを中心にご紹介しました。自宅の貸し出しは、これが正解!というより、ケースバイケースで柔軟な対応をすることが重要です。こちらの記事を読まれた方の参考になれば幸いです。

次回以降で、実際に貸し出してみたら起きたトラブル、不動産所得の確定申告など税金関係での注意点、住宅ローンの支払いが残っている場合に自宅を賃貸に出せるのか、退去時や退去後の注意点などご紹介していく予定です。自宅を賃貸に出すことを考える方は、次回もぜひご一読ください。

執筆:ライターY

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