住宅ローンが残る自宅は貸し出せる?税金関係にも注意!持ち家を賃貸に出す際に大事な「お金の話」

30代、40代の方はとくに転勤がきっかけで自宅を貸し出す方が多いようですが、住宅ローンの支払い途中である物件を勝手に貸し出すと、規約違反になってしまいます。また、住宅ローンの問題が解決して自宅が貸し出せても、収入をきちんと税務署に報告しないと脱税になり、対応が遅れると大変なことに。「自宅を賃貸に出す」をテーマにしたコラムは、今回で3本目です。この記事では、住宅ローンや税金関係をご紹介します。転勤族で持ち家の購入を迷う方、すでに持ち家があり賃貸に出すことをお考えの方は、ぜひお読みください。
目次
- 住宅ローンがある自宅を、銀行に内緒で貸し出すと恐ろしいことに!
- 自宅を賃貸に出すと、税金はどうなる?
- 不動産所得の確定申告は白色と青色のどっち?
- そのほか税金関係で気にしたいこと
- お金の管理と確定申告をお忘れなく
1.住宅ローンがある自宅を、銀行に内緒で貸し出すと恐ろしいことに!
住宅ローンは、契約者本人が住むことを条件に、戸建てやマンションなど住まいの購入費用を貸し出すものです。そのため、「正当な理由」がない限り、自宅を貸し出すことは契約違反になってしまいます。
銀行に内緒で貸し出せば大丈夫でしょ~、と思ったら大間違いです。自宅を貸し出してしまうと、銀行からの郵便物がその住所に送られても届かず、戻されてしまってバレることも。また、自分が住んでいないと所得税の「住宅ローン控除」が受けられなくなり、そこからバレることもあるようです。もしもバレてしまうと、残りのローンを一括返済しなければならない!なんてことにもなるため、銀行には事前に確認や相談することが欠かせません。その上で、どんな可能性があるのかみていきましょう。
1-1.銀行から承諾を得る
転勤や親の介護などで住み続けることができないといった「正当な理由」があれば、銀行がやむを得ない事情として承諾してくれることがあります。その場合は、住宅ローンの返済途中であっても自宅を貸し出すことが可能です。
- 認められやすいケース:転勤、介護、病気療養、離婚 など
- 条件:多くの銀行は「いつかは戻る(一時的であること)」が条件
1-2.不動産投資ローンに切り替える
通常の住宅ローンは「住むための家」を条件としているため、貸し出すのはNGです。稼ぐための物件に用途が変わるなら、新たに投資用ローンを組んで住宅ローンは全額返済すれば、自宅を貸し出しても問題ありません。
ただし、住宅ローンに比べると金利が高くなるため、家賃収入でローン返済が可能なのか、事前に収支シミュレーションをしてみましょう。事情があって、例えばその家にこの先もう住むことがないようなら、不動産投資ローンに切り替えて資産活用する、もしくは売却に踏み切るのもひとつです。
1-3.住宅ローンを完済してから自宅を貸す
手元の資金でローン残高をすべて返済してしまえば、銀行の許可は必要ありません。最近はNISAをはじめ投資で資産を増やす方もいるので、ある程度の資産がつくれている方ならこの方法がよさそうです。とはいえ、子供がいるご家庭は教育資金も考えての資産形成でしょう。この手段が選べる方は少ないような気もします。。
2.自宅を賃貸に出すと、税金はどうなる?
自宅を貸して家賃収入を得ると「不動産所得」が発生するので、確定申告が必要です。これは会社で年末調整をしている会社員の方も例外ではありません。不労所得とはいえ税務上は事業と同じく管理が必要です。申告のしくみ、節税のために知っておきたい経費について解説します。
2-1.「20万円以下は申告の必要なし」は誤解?
確定申告が必要になるのは、家賃収入から経費を引いた不動産所得の合計が年間20万円を超える場合です。とはいえ、合計20万円いかで所得税の確定申告が必要なくても、住民税の申告が別途必要になることがほとんど。また、自宅を賃貸に出すにあたってリフォーム等をして「赤字」が出た場合、確定申告をすることで給与所得と相殺(損益通算)ができて、所得税が還付されるメリットも。不動産所得の合計金額に関わらず、確定申告が必要だと覚えておきましょう。
ポイント
不動産所得 = 家賃収入 - 必要経費
※家賃収入(売上):家賃、共益費、礼金、更新料など
※必要経費:管理費、固定資産税、修繕費、ローンの利息など
2-2.自宅を賃貸に出す際、経費にできるものは?
家賃収入を得ると全額に税金がかかる、というわけではありません。経費を差し引いた金額を計上することで、税金を抑えられます。経費にできるものについて、以下をご参照ください。
- 租税公課: 貸し出している物件の固定資産税、都市計画税。
- 損害保険料: 火災保険や地震保険の費用。
- 減価償却費: 建物の購入代金を、建物の耐用年数に応じて分割して計上する費用(※非常に大きな金額になります)。
- 修繕費: 入居前のリフォーム費用、退去後のクリーニング費用や、故障した設備の修理代など
- 管理委託費: 管理会社に支払う手数料
- 借入金の利息: ローン返済額のうち「利息」の部分 ※元金は経費にならないので注意!
- 仲介手数料・広告費: 入居者募集のために不動産会社に支払った費用
賃貸に出すのに、管理会社にどこまで依頼するのか等でも変わってきます。上記を参考に、実際にかかった費用はすべてまとめておくことをオススメします。
3.不動産所得の確定申告は白色と青色のどっち?
不動産所得の申告には、「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。巷では「白色申告はラク、青色申告は大変」と聞きますが、実際にはどちらがいいのでしょうか。
3-1.白色申告は簡単!それでも青色申告がオススメの理由
まずは簡単にまとめた以下をご覧ください。
白色申告と青色申告の違い
|
項目 |
白色申告 |
青色申告(10万円控除) |
青色申告(65万円控除) |
|
主なメリット |
事前手続きが不要。 |
10万円の所得控除がある。赤字を3年繰り越せる。 |
65万円の所得控除がある。節税効果が最大。 |
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難易度 |
かんたん(単式簿記) |
かんたん(単式簿記) |
高い(複式簿記) |
|
適用条件 |
特になし。 |
事前に「承認申請書」を出す。 |
5棟10室以上の事業規模が必要(※持ち家1軒では不可)。 |
白色申告と青色申告のどちらがいいのかというと、青色申告です。手続きはやや手間の負担があるものの、10万円の所得控除があり、不動産所得から経費とは別で10万円を差し引いて計算できます。例えば家賃収入から経費を引いた不動産所得が50万円、所得税・住民税率があわせて20%と仮定すると、申告の種類で税金が2万円違ってきます(詳細は以下の通り)。課税対象になる所得は、青色申告のほうが控除が入って少なくなるためです。
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項目 |
白色申告(控除なし) |
青色申告(10万円控除) |
|
不動産の利益 |
50万円 |
50万円 |
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青色申告特別控除 |
0円 |
▲10万円 |
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課税対象になる所得 |
50万円 |
40万円 |
|
税金(税率20%の場合) |
10万円 |
8万円 |
3-2.青色申告は赤字の繰り越しも可能
減税になるだけではなく、青色申告は赤字を3年間繰り越せることもメリットです。そのため、初年度にリフォーム費用がかかって大きな赤字になったとして、その分を初年度の家賃収入から差し引くだけでなく、最長3年持ち越せます。これは白色申告にはないため、賃貸に出すご自宅の状況によってかなり影響があるでしょう。
ちなみに、白色申告と青色申告の違いをまとめた表には65万円控除も入れましたが、条件が5頭10室以上の規模の場合なので「自宅を賃貸に出す」のみのオーナーさんには当てはまりません。
3-3.確定申告のタイミングは?
青色申告を始めるには、その年の3月15日まで(あるいは業務開始から2ヶ月以内)に、税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。すでにご自宅を賃貸に出している方は、ぜひ青色申告の準備を進めましょう。
4.そのほか税金関係で気にしたいこと
確定申告が必要になることは先にご紹介した通りですが、そのほかにも税金関係で注意しておきたいことがあります。
4-1.要注意!住宅ローン控除が受けられない⁉
自分が住んでいない期間は、住宅ローン控除が適用されません。仮に住宅ローンが残っていている持ち家を、銀行の承諾が得られて貸し出せるとなっても、控除が受けられない分の支払いが増えることに。家賃収入を含む収支シミュレーションの際は、そこも踏まえて検討する必要があります。
4-2.ふるさと納税の限度額がアップ!
持ち家を貸し出して不動産所得が増えると、給与所得+不動産所得の合計で住民税が増えます。ふるさと納税は住民税所得割額の20%までと定められているので、ふるさと納税の寄付限度額も引き上がる、というわけです。
自宅を賃貸に出すことになったら、改めて寄付限度額を計算してから、納税先を検討してはいかがでしょうか。金額が増える分、今まで以上に納税先や返礼品選びが楽しめそうですね。
5.お金の管理と確定申告をお忘れなく
今回は持ち家を賃貸に出す場合のお金まわりについてまとめました。住宅ローンのこと、確定申告のこと、そのほか注意すべき点を念頭に置いて、いろんな賃貸シミュレーションをしてください。自宅を賃貸に出すメリット・デメリットや賃貸借契約について、必要な準備や流れ、どんなトラブルがあるのかについては、これまでのコラムをご覧ください。
転勤のほかにも、いろんな事情で自宅を離れることになり、賃貸に出す人がいらっしゃいます。住宅を空き家のままで放置するより、賃貸として活用するほうが建設的です。情報を集めてリスクを減らし、安定した不動産所得が得られるよう祈っています!
執筆:ライターY
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