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2026.08.20

離婚の際に持ち家はどうする?売却せずに住み続けるメリット・デメリット・注意点を解説

Stay_in_the_home_after_a_divorce.png戸建てやマンションなどの持ち家がある夫婦が離婚する際には、住宅を売却するかどうかという重要な問題に直面します。「子どもの転校を避けたい」「住み慣れた家を離れたくない、手放したくない」「新居探しや引っ越しに時間と手間をかけたくない」などの理由から、離婚後もマンションを売却せず、そのまま住み続けたいと考える人は少なくありませんが、安心して住み続けるためには、住宅ローンや所有名義、財産分与などいくつかのハードルをクリアしなくてはなりません。このページでは、離婚後も住宅を売却せずに住み続ける場合のメリットとデメリットを比較するとともに、住宅の所有名義や住宅ローンの整理など、離婚後のトラブルを避けるための注意点について解説します。

目次

  1. 離婚後も売却せずに住み続けるメリット/デメリット
    1. 売却せずに住み続けるメリット
    2. 売却せずに住み続けるデメリット
  2. 離婚後も売却せずに住み続けるために必要なこと
    1. 住宅の所有名義を整理する
    2. 住宅ローンの名義を整理する
    3. 住宅の維持費を把握・想定しておく
    4. 将来の売却や住み替えを想定しておく
    5. 取り決めた内容は離婚協議書や公正証書として残す
    6. 住宅ローン控除や税金への影響を確認する
  3. 住宅ローンを整理する際の注意点
    1. 住宅ローンの名義変更は簡単ではない
    2. 住宅ローンの借り換えも簡単ではない
    3. 住宅の価値と住宅ローン残高を確認する
    4. 保証人・連帯保証人・連帯債務者の責任を確認する
    5. 団体信用生命保険(団信)の内容を確認する
    6. 売却も選択肢の一つとして比較検討する
  4. まとめ

1. 離婚後も売却せずに住み続けるメリット/デメリット

離婚後も持ち家を売却せずに住み続けることで、子どもの精神的な負担を軽減し、部屋探しや引っ越しの手間をなくすことができます。しかし一方で財産分与が複雑になり、離婚後も相手との関係が続く可能性があります。以下のメリットとデメリットを理解した上で、住み続けるかどうかを検討することをおすすめします。

1-1. 売却せずに住み続けるメリット

子どもの生活環境を変えずに済む

離婚後も同じ家に住み続ける大きな理由の一つが、子どもの生活環境を維持できることです。離婚によって家庭環境が変化するだけでも、子どもにとっては大きな負担になります。そのうえ転校や引っ越しが重なると、学校生活や友人関係にも影響が出る可能性があります。現在の住宅に住み続ければ、通学先や友人関係、地域とのつながりを維持できます。特に小学生や中学生など、環境変化の影響を受けやすい時期では、住環境を変えないことが精神的な支えになる場合があります。従来通りに通勤や買い物などができることで、離婚後の生活を安定させやすく、親にとってもメリットのある選択です。

引っ越し費用や新居探しの負担を抑えられる

住宅を売却して新しい生活を始める場合、新居の契約費用や引っ越し費用などのまとまった支出が発生します。賃貸住宅へ移る場合は、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用が必要になるほか、家具や家電の買い替えが必要になることもあります。離婚直後は、生活を立て直すためにさまざまな費用が必要になる時期です。現在の家に住み続けることで、そうした経済的な負担を抑えることができます。

売却するための時間と労力が不要になる

離婚する際には、財産分与や子どもの親権など、2人で話し合い、取り決めなくてはならない多くの課題が生じます。そこに住宅の売却が加わると、不動産業者や金融機関との相談も必要になり、さらに負担が大きくなります。同じ家に住み続ければ、すぐに売却する必要がなく、売却にかかる時間と労力が不要になるため、その他の課題に集中できるというメリットがあります。ただし、住み続けるために必要な手続きもあるため、どちらのメリットが大きいか比較検討が必要です。

売却のタイミングを慎重に判断できる

離婚と同時に住宅を売却する場合、精神的な負担や時間的な制約から、十分に検討できないまま売却を進めてしまうことがあります。すぐに売却せずにしばらく住み続けることで、住宅市場の動向を見ながら、より良いタイミングで売却を検討できる可能性があります。ただし、所有期間中は固定資産税や修繕費などの負担が続くため、将来的な家計への影響を考えた上で判断する必要があります。

1-2. 売却せずに住み続けるデメリット

離婚相手との関係が続く可能性がある

住宅の所有権や住宅ローンが離婚相手の名義の場合や、共有名義、ペアローンなどの場合は、離婚後も連絡や話し合いが必要になる可能性があります。離婚後の関係が良好な場合は問題にならない場合もありますが、関係が悪化すると住宅の修繕やローンの繰上返済、売却、名義変更など、様々な手続きが進めにくくなります。ペアローンの場合は、お互いが相手のローンの連帯保証人になっているため、より注意が必要です。

⇒ 別コラム:元配偶者との交渉が負担

財産分与が複雑になる可能性がある

住宅を売却する場合は、売却代金から住宅ローンを返済し、残った金額を分けることが基本となるため、財産分与は比較的検討しやすくなります。一方、離婚後も住宅に住み続ける場合は、住宅を保有したまま財産分与を行うため、住宅の評価額や所有名義、住宅ローンの扱いなどを整理する必要があり、売却する場合よりも検討事項が多くなることが多く、財産分与の決定に時間がかかる可能性があります。

将来的に売却しにくくなる可能性がある

共有名義の住宅を売却する際には、原則として所有者全員の同意が必要です。名義変更を行わずに共有名義のまま住み続けた場合、将来売却する際に離婚相手の同意を得なくてはならず、その時点の2人の関係性によっては売却手続きが難航する可能性があります。売却しない選択をする場合には、将来売却する可能性を想定し、必要な手続きや取り決めを行いましょう。

2. 離婚後も売却せずに住み続けるために必要なこと

離婚後も持ち家を売却せずに住み続けるためには、住宅の所有名義と住宅ローンの名義を確認・整理するとともに、今後必要になる住宅の維持費を算定し、安心して暮らしていけるかどうかを検討しておくことが重要です。離婚前の所有権や住宅ローンの名義によっては、整理に時間がかかる可能性があるため、以下の項目を確認し、できるだけ早く着手しましょう。

2-1. 住宅の所有名義を整理する

単独名義の場合

住宅が夫または妻の単独名義であっても、離婚協議の際に名義人の資産とみなされるとは限りません。夫婦が婚姻中に協力して得た住宅は、名義に関わらず財産分与の対象になる可能性があることを理解しておきましょう。

⇒ 別コラム:不動産の名義が夫だけでも、財産分与の対象に

離婚後に住み続けるのが名義人ではなく名義人の離婚相手の場合には、財産分与の内容に応じて所有権の移転・名義変更を検討し、所有権を整理しておくと安心です。ただし住宅ローンが残っている状態での名義変更は、金融機関の承諾が必要になるケースがあり、場合によっては名義変更ができないこともあるため注意が必要です。

⇒ 別コラム:元配偶者への売却は特別控除が適用されない!

共有名義の場合

夫婦共有名義の住宅は、離婚後も双方が所有者となります。共有名義のまま住み続けることも可能ですが、将来的に売却する場合などに所有者双方の合意が必要になるほか、修繕についても共有者間での調整が必要になることを理解しておきましょう。

離婚後の関係を解消したい場合は、相手の持ち分に相当する金額を支払って共有名義を解消し、住み続ける側の単独名義に変更する必要があります。ただし住宅ローンが残っている状態での名義変更は、単独名義の場合と同様に金融機関の承諾が必要になります。

2-2. 住宅ローンの名義を整理する

住宅ローンの名義人が住み続ける場合

住宅ローンの契約者本人がそのまま住み続ける場合は、金融機関との契約内容と実際の居住状況が一致するため、多くの場合名義変更などは不要です。ただし、離婚によって世帯収入が減少する場合は、離婚後も無理なく返済を続けられるかを確認し直す必要があります。共有名義の場合は、相手の返済滞納やそれによる連帯保証などのトラブルを避けるため、ローンの支払い方法について話し合い、整理しておくことが重要です。

住宅ローンの名義人以外が住み続ける場合

住宅ローンが残っている住宅に、ローンの名義人ではない元配偶者が住み続ける場合は注意が必要です。ローンの名義人が返済を滞らせると、住宅が売却され、住み続けられなくなる可能性があります。また、住宅の所有名義もローンの名義人となっている場合には、元配偶者の判断で住宅を売却されるリスクもあります。

こうしたリスクを避けるためには、住宅の所有名義だけでなく、住宅ローンの名義や返済方法についても整理しておくことが重要です。必要に応じて、ローンの債務者変更や借り換えなどについて、金融機関に相談しましょう。

ペアローンの場合

ペアローンでは、夫婦それぞれが住宅ローンを契約し、住宅を共有名義で所有するのが一般的です。夫婦それぞれが住宅ローンを契約するため、離婚後もそれぞれのローン契約や所有権が残ります。商品によっては相手のローンについて連帯保証人となっている場合もあるため、契約内容を確認する必要があります。単独ローンに変更するためにはローンの借り換えが必要ですが、新たなローンの審査に通らなくてはならず、決して容易ではないことも理解しておきましょう。

⇒ 別コラム:離婚によりペアローンの住宅を売却する上での、課題や注意点とは。

2-3. 住宅の維持費を把握・想定しておく

離婚後は多くの場合、離婚前よりも世帯収入が減ります。住宅ローン以外にかかる様々な維持費を確認し、1人で支払えるかどうかを検討しておきましょう。

主な住宅維持費の例

  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険・地震保険
  • 設備交換費(給湯器・エアコンなど)
  • 管理費・修繕積立金(マンションの場合)
  • 外壁や屋根などの修繕費(戸建ての場合)
  • 水道設備・排水設備の修繕費

2-4. 将来の売却や住み替えを想定しておく

離婚時に住み続けたいと思っていても、その思いがずっと続くとは限りません。子どもの独立や転勤、再婚、収入の変化などによって、将来的に売却や住み替えが必要になる可能性もあります。離婚の際には、現在の住宅の資産価値や住宅ローン残高を把握し、将来売却することも想定して話し合いをしましょう。共有名義のまま住み続ける場合は、将来的に売却する際の手続きや連絡方法についても取り決めておくと、後々のトラブルを防ぎやすくなります。

2-5. 取り決めた内容は離婚協議書や公正証書として残す

離婚後のトラブルを防ぐためには、夫婦間の取り決めを書面に残しておくことが重要です。住宅についての取り決めを離婚協議書や公正証書に記載しておくことで、認識の違いによってトラブルが生じるリスクを軽減できます。離婚するときには問題がないと思っていても、時間の経過とともに状況や考え方が変わることがあります。住宅は高額な財産だからこそ、将来を見据えてできるだけ具体的な取り決めを残しておくことが大切です。

住宅に関する取り決めの例

  • 誰が住宅に住み続けるのか
  • 誰が住宅ローンを返済するのか
  • 固定資産税や維持費を誰が負担するのか
  • 将来売却する場合はどのように手続きを進めるのか

2-6. 住宅ローン控除や税金への影響を確認する

離婚に伴って住宅の名義変更や住宅ローンの借り換えを行う場合は、住宅ローン控除や税金への影響についても確認しておくことが大切です。財産分与によって住宅を取得した場合でも、一定の要件を満たせば住宅ローン控除の適用を受けられるケースがあります。また状況によっては、これまで受けていた控除が受けられなくなる可能性もあります。名義変更の方法によっては、登録免許税、譲渡所得税などの税金や司法書士への報酬などの費用がかかる場合があります。

3. 住宅ローンを整理する際の注意点

離婚時に住宅ローンが残っている場合、離婚後にどちらがどのようにローンを支払っていくかを、財産分与とあわせて決めておく必要があり、名義変更(債務者変更)や借り換えなどによってローンを整理する事例も多く見られます。住宅ローンを整理する際の注意点を以下にまとめました。

3-1. 住宅ローンの名義変更は簡単ではない

離婚後に住み続ける側が住宅ローンの名義人ではない場合、将来のトラブルを避けるために、住み続ける側の名義に変更することがあります。しかし、住宅ローンの名義変更(債務者変更)には金融機関の審査が必要です。収入、勤務状況、年齢、住宅ローン残高などをもとに判断されるため、必ず認められるとは限りません。変更を検討する場合は、離婚前に金融機関に相談し、変更が可能かどうかを確認しておきましょう。

3-2. 住宅ローンの借り換えも簡単ではない

住宅ローンを整理する方法として、借り換えも選択肢の一つです。現在の住宅ローンを新たな住宅ローンで借り換え、住み続ける側が返済する契約に変えることで、住宅ローンに関わる離婚相手との関係を解消することができます。ただし、借り換えにも審査があり、収入状況などによっては借り換えができない可能性があります。住宅ローンが残っている場合は、借り換え、売却、住み続ける方法など複数の選択肢を比較することが大切です。

3-3. 住宅の価値と住宅ローン残高を確認する

住宅ローンを整理するためには、現在の住宅の資産価値と住宅ローン残高を把握しなくてはなりません。住宅の査定価格が住宅ローン残高を上回る「アンダーローン」の状態であれば、売却や借り換えの選択肢が広がります。しかし、住宅ローン残高が住宅価値を上回る「オーバーローン」の場合は、売却しても住宅ローンを完済できない可能性があります。アンダーローンかオーバーローンかによって、財産分与の方法や住宅ローンの整理方法は大きく変わるため、離婚協議を進める前に不動産会社へ査定を依頼し、現在の資産価値を把握しておくことが大切です。

3-4. 保証人・連帯保証人・連帯債務者の責任を確認する

住宅ローンを契約する際に、配偶者が連帯保証人や連帯債務者になることがあります。この場合は、離婚したからといって保証人や債務者としての責任が自動的になくなるわけではありません。離婚相手の返済が滞り、代わりに返済を求められる可能性があるので注意が必要です。将来的なトラブルを防ぐためにも、連帯保証人や連帯債務者を変更できるかどうか、金融機関へ確認しておくことが重要です。

3-5. 団体信用生命保険(団信)の内容を確認する

住宅ローンを利用する際には、団体信用生命保険(団信)に加入するのが一般的です。団信は、住宅ローン契約者が死亡または所定の高度障害状態になった場合などに、保険金によって住宅ローンが完済される制度です。離婚後も住み続ける場合は、誰が団信の対象になっているのかも確認しておきましょう。相手方が住宅ローン契約者であり、団信に加入しているケースでは、住宅ローンの返済方法や将来の生活設計にも関わるため、制度の内容を正しく理解しておくことが大切です。

※保障内容は加入している団信によって異なります。

3-6. 売却も選択肢の一つとして比較検討する

離婚後もできれば住み続けたいと考えていても、それが最適な選択肢とは限りません。住宅ローンの借り換えが難しい場合、返済負担が大きい場合、共有名義やペアローンを整理解消できない場合などは、無理に住宅を所有し続けることで将来的な負担やリスクが大きくなる可能性があります。住宅ローンを整理する際は、「住み続ける方法」と「売却する方法」の両方を比較し、それぞれのメリット・デメリットを検討することが重要です。

売却した方が良い事例

  • 住宅ローンや維持費の負担が大きすぎる場合
  • 住宅の広さや立地などが離婚後の生活に合わない場合
  • 元配偶者との金銭・権利関係を解消したい場合
  • 将来的に住宅価値が下落する可能性がある場合
  • 共有名義のまま残すことで、将来の相続や権利関係を複雑にしたくない場合

4.まとめ

離婚後も戸建てやマンションなどの持ち家を売却せずにそのまま住み続ける場合には、所有名義、住宅ローン名義を整理し、今後の維持費や将来の住み替えも想定した上で、離婚協議書や公正証書に残しておくことが重要です。住宅ローンの名義変更(債務者変更)や借り換えは簡単ではなく、時間がかかる可能性があるため、売却も選択肢の一つとして検討しながらできるだけ早く着手するようにしましょう。持ち家は2人の今後の暮らしに関わる大事な資産です。2人だけで決めようとせずに、不動産会社や金融機関など専門家のアドバイスを参考にしながら検討することをおすすめします。

執筆:ライターS

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