離婚して家も売って心機一転のつもりが、トラブルに発展⁉離婚時の不動産売却によくあるトラブル&回避策を紹介

離婚が決まったら、マイホームの売却をして住宅ローンを整理しようと考える方が多い一方で、トラブルが起きることも一定数あるようです。離婚きっかけの不動産売却時時によくあるトラブルとは、売却の合意が得られなかったり、書類の準備が進まなかったり、売却後に手元に残った費用の分け方で揉めたりと、さまざま。今回のコラムでは、どんなトラブルがあるのか、どんな点に気を付けるべきかを中心にまとめています。
目次
1.離婚による不動産売却時によくあるトラブルとは
ブルーボックスが行った経験者アンケートでは、30代40代の方がローン整理のためにも売却するケースが多くありました。共有名義より単独名義が多かったものの、単独名義であっても揉めることはあります。どんなトラブルが起こりうるのでしょうか。
1-1.単独名義でも勝手に売ると後から困ったことに!?
ローンの支払いと維持費と養育費の両立は厳しいが、元妻が売却を拒否。
臼井さん(仮名・37歳男性)は妻と子の3人暮らしでしたが、離婚が決まってマイホームの売却を考えます。とりあえず査定依頼したみたところ、売却してローン返済にあてても少し手元にお金が残りそうだとわかりました。そこで元妻に、家は売って住宅ローンを整理して、残ったお金を分けようと提案。ところが、なぜ家を残さないのか?子供が成長してきたらお泊まりもできるし、実家と呼べる場所はできれば残してほしいなどと、売却に賛成してくれません。とはいえ、ローンを払いながら養育費も払って家の維持となるとさすがに大変で、弁護士にどうすべきか相談中です。
単独名義の場合、法律上は元妻(元夫)の同意がなくても売却できますが、名義人ではない元妻(元夫)が法的な手続きをふんで売却をストップさせることも可能です。そもそも、離婚調停で揉めて、慰謝料が多くとられるなど名義人が後から困ることもあるため、勝手に売却はしないのが安全です。
ちなみに、単独名義であっても婚姻中に共有財産として取得した不動産は、売却したあと諸費用を引いて残ったお金を財産分与する必要が生じます。
⇒ 別コラム:離婚時の財産分与とは?家を売るときの基本
そのほか、共有名義の場合は名義人全員が同意しないと売却できません。夫婦で共有名義なら夫婦それぞれの同意やサイン、書類が必要です。
⇒ 別コラム:ペアローン住宅を売却するときに気をつけること
1-2.ペアローンなのに、内覧や書類準備に協力してくれない
売却のための書類準備を計画通りに進めてくれない...。
佐藤さん(仮名・32歳男性)は、妻と2人暮らしです。離婚が決まって家をどうするか話し合ったところ、子供はいないので、2年前にペアローンで購入したマンションは手放してローンを整理し、お互い自由になろうと合意。ところが、妻は仕事の忙しさを理由に内覧の対応はほぼ自分ひとりに任せ、向こうの分の書類準備もなかなか進めてくれません。一緒に住んでいるうちに売却の話をまとめた方がいいと思って計画してきたものの、こちらも仕事しながらで時間が限られるし、もうちょっと内覧にも協力して欲しいのですが...。気が進まないのはわかりますが、淡々と手続きを進めて早く自由になった方がいいのに、離婚の話も売却も進まなくて疲弊していくばかりです。
離婚の話し合いや、それに伴う不動産売却は、そもそも負担を感じるものでしょう。相手がなかなか進めてくれない等で困らないよう、口約束ではなく書面で取り決めを残すこと、第三者に入ってもらうことも有効です。
1-3.住宅ローン残債の負担で大揉め
慰謝料を分割にしないとローン残債が整理できず「約束が違う」と大喧嘩!
東野さん(仮名・45歳男性)は、すでに成人した子2人と妻の4人家族でした。離婚が決まり、上の子はこれを機に家を出て自立、下の子は妻についていくことに。一軒家は独り身には広すぎるし、住宅ローンや固定資産税など維持費も考えると、売却したほうがいいと不動産査定を依頼。ローン残債も確認したら、売却しても残債の整理にはややお金が足りないことがわかりました。そこで、妻に渡す慰謝料を分割にしたい、後で必ず返すからローン整理のために少し貯金を出して欲しいと提案。ところが妻は、「慰謝料一括でもらう約束のはず。こちらの貯金は出さないし、最初にまとまった金額が欲しい」と譲りません。妻は家を出たあと中古マンションを買うつもりで目星をつけており、慰謝料を頭金にしたかったようです。結局、いい年して親に頭を下げるしかなさそうです...。
売却価格よりローン残債が上回るオーバーローンの場合、不足している分の現金が用意できないと売却はできません。不足分が用意できれば売却はできますが、先に慰謝料の話がついているのに条件が変わってしまうと、揉める可能性も大いにあります。はやく話をつけようと財産分与や慰謝料の話をする前に、まずはローンの確認や自宅の査定から始めることをおすすめします。
1-4.売却代金の分け方で対立!
財産分与の金額でお互い譲れず、専門家を頼ることに...。
堀夫妻(40歳・仮名)は同級生夫婦で、子供はいません。結婚と同時にマンションを購入しており、離婚を機に売却することで同意。住宅ローンは夫側の単独名義でしたが、購入時にそれぞれの親からお金をもらっていました。売却して諸費用を引いても手元に金額が残るので公平に財産分与をと思いましたが、お互い親から100万円ずつもらったほかに夫側の口座から貯金も少し出して頭金にしています。多く出した分、夫:妻で6:4の分け方にしたいと提案するも納得してもらえず、むしろこれからの生活も考えて多めに欲しいと言われてしまいました。2人での話し合いでは決着が付かなさそうで、結局、専門家に入って話し合うことに。そちらの費用がかかって、さらに揉めそうな空気です...。
頭金を多く出したからといって、100万円だしたら100万円が財産分与で絶対にもらえるというものではありませんが、費用を持ち出した割合で財産分与を話し合うことが多いようです。ただ、財産分与のほかに、離婚理由によっては慰謝料等も発生するため、専門家をまじえて調整した方がいい場合もあるでしょう。
1-5.法的効力がない口約束はトラブルのもと
慰謝料の代わりに家に住み続け、ローンを払い続けてもらうはずが...。
飯田さん(仮名・35歳女性)は、夫との間に子供がひとりいます。離婚が決まり、子供は自分が引き取って持ち家であるマンションを出て、慰謝料と養育費をもらうつもりでした。ところが、まとまった慰謝料をすぐ払うのが難しい、ローンは引き続き支払うから子供の環境がかわらないよう家に住み続けるのはどうかと言われます。月々の管理料や駐車場代は自分が払うとしても、部屋は気に入っていたので了承し、離婚後も住み続けていました。ところが、2年を過ぎた頃に養育費の振り込みがなくなり、元夫がローンを組んでいた金融機関から返済が滞っていると連絡が入ったのです。慌てて元夫に連絡したところ、実はいま付き合っている女性がいて、家を売りたいと言われてしまいます。そもそも住んでいないのに家のローンを払っているんだから養育費はいらないのでは、マンションは売ってローンを整理したいという話になってしまいました。離婚時と約束が違うと文句を言ったものの、書面での取り決めがなく口約束だったので、これからどうするべきか悩んでいます...。
住宅ローンの名義は男性の単独名義だったとしても、妻が連帯保証人の場合、離婚したからといって保証人から外れるわけではありません。そのため、離婚後に元夫の支払いが滞ると、連帯保証人となっている元妻側に請求がきてしまうトラブルも。連帯保証人になっていなくても、ローンが滞って競売にかけられ、強制退去になってしまうこともあります。口約束だけでなく法的に効力がある書面で残すことはもちろん、離婚後もローンが残る家へ名義人以外が住み続けるのはリスクが高いことも覚えておきましょう。
2.トラブルを避けるためにやっておきたいこと
先にご紹介したほかにも、片方が査定価格に納得できなかったり、共有名義の家を放置してトラブルになったりと、離婚きっかけの売却はいろんな問題が起こりやすいものでしょう。離婚調停で時間や負荷がかかることもあり、できるだけトラブルは避けたいところ。そのための対策として、どんなことができるでしょうか。
2-1.住宅ローンの残高と、不動産の売却査定額をなるべく早く調べる
売却価格がローン残高を上回るアンダーローンか、ローン残高のが上回るオーバーローンなのかで、そもそも売却できるのか、どんな選択肢や未来があるのか違ってきます。まずはローン残高と自宅の査定を確認してから、どうしていくべきか考えていきましょう。
2-2.「公正証書」を作成して口約束だけにしない
離婚してもマイホームを売却しない場合はローンの支払い、将来の売却や名義変更なども口約束ではなく、必ず「離婚給付等契約公正証書」にして法的効力を持たせるようにしてください。子供がいる場合は月々の養育費は何日にいくら振込か、子供とはどのくらいの頻度で会うのかを決める場合もあります。一方的なルールでは破綻するので、まずは条件をすり合わせた上で書類を作成していきましょう。
2-3.マイホーム売却の媒介契約を結ぶ前に、名義とローンの契約内容を確認
自宅の査定はできれば複数社に依頼して、金額はもちろん、対応や条件の違いを知ってから媒介契約に進みましょう。その前に、登記事項証明書(権利関係)とローン契約書(連帯保証の有無など)を手元に揃えてから、専門家に相談することをおすすめします。
3.マイホーム売却の媒介契約はどれがいい?
マイホーム売却のために不動産会社と結ぶ媒介契約は3種類あり、不動産会社から受けられるサポートや自由度が大きく異なります。販売窓口を1社に絞る専属専任媒介契約や専任媒介契もあれば、複数社に販売を依頼する一般媒介契約もあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
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区分 |
専属専任媒介契約 |
専任媒介契約 |
一般媒介契約 |
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販売窓口 |
1社 |
1社 |
複数社 |
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自分が発見した |
不可(会社を通す必要がある) |
可能 |
可能 |
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レインズ(情報網)への登録 |
契約から5日以内 |
契約から7日以内 |
登録は任意 |
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依頼者のメリット |
・売れれば仲介手数料が確実に不動産会社に入るため、不動産会社は積極的に売却活動を行う |
・多くの不動産会社に販売活動を依頼できる |
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依頼者のデメリット |
・販売の依頼先が限定される |
・依頼窓口や情報が分散され、やり取りも煩雑になる可能性あり。 |
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標準媒介契約約款による |
3カ月以内 |
法令上の制限はなし(行政の指導では3カ月以内) |
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専属専任媒介契約や専任媒介が向いているのは、1社に絞って担当者にしっかりサポートしてもらって動いて欲しい、宣伝にも力を入れて熱心に販売活動をして欲しい人です。離婚による不動産売却では、知り合いの信頼できる不動産会社1社に任せたという声もあり、やり取りが煩雑にならないよう専任媒介を選ぶ人は多いようです。その中で、近所の知人や親族などが買い手となるかもしれないなど、自分でも飼い主を探す可能性があるなら、専任媒介が向いています。
一方で、一般媒介が向いているのは、複数社に競わせてより高く、早く売りたい、ご近所には知られずに売却したい人です。売却理由や状況にあわせて、信頼できる不動産会社に相談してください。
⇒ 参考:物件ご売却5つのメリット・ご売却までの流れ・媒介契約について
4.まとめ・感情的な話し合いではなく、数字と書面で整理がおすすめ
離婚時の売却は、とくに話し合いだけで進めると感情的になってこじれやすいため、あまりおすすめできません。まずは自宅の査定価格とローン残高の数字を出し、名義の確認や売却するかどうかといった方針を書面で整理して取り決めると、「言った・言わない」という不毛な争いを避けやすくなります。可能なら専門家に頼り、できるだけ冷静に決めていけるといいでしょう。
経験者はどういった選択をしたのか、財産分与の話やペアローンのことなど、他のコラムにまとめています。今回のコラムとあわせて、ぜひご覧ください。
執筆:ライターY
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